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『文体の舵をとれ』練習問題p49(トレリド)

練習問題②ジョゼ・サラマーゴのつもりで

一段落~一ページ(300~700文字)で、句読点のない語りを執筆すること(段落などほかの区切りも使用禁止)。

『文体の舵をとれ』アーシュラ・K・ル=グウィン p49

もう二度と句読点を雑に扱わないので許してください、と思いました。


 その時のローズハートの顔ときたらまったく教わってない芸をさせられた時または投げられていないのに何かを放った腕の先を見つめてしまった時の犬のようで本当に見物だった!それ以上に面白かったのは偶然居合わせたのかどこからかすっ飛んで来たのかいつの間にかローズハートの傍にいたクローバーがさもおかしくありませんみたいな顔で「悪い悪い俺が借りたままだった」なんて取り澄まして言ったことよ!動画を撮っておけばよかったあなたが見られなくて本当に残念だってこんなことはもう二度と無いでしょうしあなたがローズハートやクローバーに会うこともないでしょうからね!私ばかり喋りすぎかしらでもだってこんなこと同僚は勿論生徒にだって話せやしないもの!もしも教師の仕事が安全な範囲で失敗させたり恥をかかせたりすることだというのならきっとクローバーは絶対教師にはなれっこないでしょうよ!

『文体の舵をとれ』練習問題p31(トレリド)

練習問題①文はうきうきと
問1:一段落~一ページで、声に出して読むための語り(ナラティブ)の文を書いてみよう。
(『文体の舵をとれ』アーシュラ・K・ル=グウィン p31より引用)

この時空のトレリドです。


眠れない? 一体どうしたんだ? ……怖くて眠れない? さっきお父さんがしっかり鍵をかけたのをお前はちゃあんと見てただろ? 安心しろ、怖いことなんて何もないよ。この子供部屋は世界一安全だよ。……窓から影が入ってきたって? ……確かに泥棒と違って、影や光は鍵なんて気にしないか。でも影は影だよ。何もできっこないさ。持ち主にくっついていることしかできないよ。大きな怪物に見える? 飛び回る男の子に見える? 悪い魔女に見える? 見える、見えるだけさ。そこに本当のものは何も無いよ。ほら、目を閉じるんだ。瞼の裏で本当のものをひとつひとつ思い浮かべて。夜空を流れていく雲や、通りに立った信号や、窓の外のクルミの木を、閉じた目でひとつひとつ見るんだ。

……今度は音がする? クローゼットで何かがカタカタ動いてるって? クローゼットの向こうにはケイトの部屋があるだろ。ケイトが仕事してるだけさ。(あいつめ、キーボードの音が大きいぞ)廊下をギシギシ歩く音がするって? お前たちがパパを離してくれないから、お父さんが様子を見に来ただけさ。それでもお前たちはモンスターがいるっていうのか? 絵本で読んだモンスターの話がそんなに気になるのか? モンスターたちがいるなら、きっと夢の中だよ。夢の中で街を作って、楽しく暮らしてるはずだ。モンスターはお前たちのよろこびが好きなんだ。街の灯りはお前たちの笑い声で光って、街を行く車はお前たちと一緒に走るんだ。お菓子も? ああ、お菓子もきっと作って食べてる。マロンタルトもきっとあるよ。クリームがなめらかなやつだ。早く夢の中に入ってモンスターたちと一緒に食べておいで。

地獄でなお正しい(トレリド)

※『ハズビンホテルへようこそ』世界観パロディ

「閉廷!」
硬質な音が二度打ち鳴らされて、赤い闇で出来た法廷が消えていく。法廷の主に契約で縛られた、配下の罪人の悪魔たちは、やれやれ、やっと終わったかと気だるげにそれぞれの地獄での生活に戻っていった。法廷があったところの地面には、ただ赤い血のシミだけが残った。
役目を終えた裁判長が、禍々しい上級悪魔らしい姿から日常を過ごす姿へと戻っていく。全身が真紅の薔薇と棘の蔓に覆われた、小柄な男の姿へと。薔薇を人間の姿にしたのなら、きっとこのリドル・ローズハートになるだろうと、俺は死ぬ前からひっそりと思っていた。なので地獄でも、先に死んでいたリドルをすぐに見つけ出すことができた。
「まったく、どいつもこいつもろくでなしばかり……」
「しょうがないだろ。だってここは地獄なんだから」
「トレイ、キミには明日の裁判の下調べを頼むよ」
「もう次があるのか? たまには休んだらどうだ?」
「そんなわけにはいかないよ。それこそ、ここは地獄なんだから」
リドルは、死の直前まで裁判長をしていたらしい。だからか、地獄に会っても罪人を”裁く”ことが己の責務だと信じている。しかしそこには何の正当性もない。ただ、司法も警察も機能しないはずの地獄で、生者の法を押し付けて他の罪人をねじ伏せているだけだ。突然の裁判にかけられた罪人の末路は、契約を結んで”労役”につき”法廷”を手伝うか——処刑されて二度目の死を迎えるか。二つに一つだった。俺がリドルを見つけた時にはもう既に”法廷”の実態は、そう名乗っているだけの暴力組織になってしまっていた。
七つある地獄の階層の一番上、傲慢の階層の辺境で”法廷”は活動している。かつて人間だった罪人たちはそこにしかいられないのだ。傲慢の辺境にある邸宅に帰ると、おかえりー、とケイトが出迎える。数少ない、リドルに友好的な契約者の一人だ。
「お客さんが来てるから応接室で待ってもらってるよ。どうしても裁いてほしい罪人がいるんだって」
「わかった。すぐに対応しよう」
返り血がべったりとついたスーツを着替えるために、リドルは私室へと去っていった。
「……突っ込んだこと聞いてもいい? トレイくんってリドルくんとは死ぬ前からの付き合いって本当?」
客に出すお茶とお菓子を用意しながら、ケイトが質問してくる。もうそれなりに気心の知れた仲だと思っていたが、まだ話したことは無かったか。
「幼馴染ってだけだけどな」
「生前のリドルくんってどんな感じだった?」
「俺も高校を卒業してからのことは知らないが……まあ、あの頃から自分にも他人にも厳しかったよ」
「見た目は? トレイくんのも気になるけどさ」
「見た目? それなら昔もあんな感じだよ」
「いや、あんな人間離れした感じなわけないじゃん!」
「何を話しているんだい?」
服を着替えたリドルがキッチンの入り口に立っていて、こちらを睨む。と言っても、眼窩のあるべきところには大輪の花が咲いているから、そんな風な気がするだけだが。
ゴメンゴメン、実はさ……と弁解を始めるケイトをよそに、俺は生前のリドルの姿を思い出す。幼少期の目の輝きと、それを覆う涙。少年の頃の凛とした眼力。気まずく交わっては逸れる視線。あの瞳の、雨が降り出す前の曇り空のような灰色を覚えているのは俺だけでいい。

一度だけ、どうして罪人を裁くのかとリドルに質問してみたことがある。この地獄に墜とされ、いつ天国によって粛清されるかもわからない状況に置かれることこそ既に、全ての罪人にとっての罰なのではないかと。リドルの答えは、「とてもそうは思えない」というものだった。
「ボクは誰よりも正しかった。このボクにくだる罰と、他の罪人どもにくだる罰が同じでいいはずがない」
はっきりと通る声で揺るぎなく答える。
「これはきっとボクに課せられた使命なんだ。果たし続けていれば、いつかは天国に行けるかもしれない」
「……そうか」
どうすれば天国に行けるかなんて、誰も知らない。けれど血で汚れたこの薔薇は、きっと天国に咲くことは無いのだろう。俺はこれが見られただけでも、地獄に堕ちてよかったと思っているんだが。
「行けるといいな」
「何を他人事みたいに……キミも行くんだよ。ケイトも、エースも、デュースも。”法廷”のみんなでね」
「……ああ、頑張ろうな」
生前は、高校卒業とともに離れ離れになってそれきりだった。リドルの隣に居続けられるのなら、天国だって地獄だって、どこでもいい。今度こそ俺は、リドルのためにできることは何でもするつもりだ。ただ、「俺たちは」「お前はきっと」「天国には行けないよ」と告げることだけは、どうしてもできなかった。

2023年12月17日Dozen Rose Fes 情報

  • 2023年12月17日 Dozen Rose Fes. 2023内トレリドプチオンリー『スミレとバラと甘い君』
  • スペース【南3ホール ネ33b】
  • サークル【牙ヶ島】
  • 新刊『Teacher, Incubus, Lover, Right-hand』
    • 文庫サイズ/204p
    • 800円
    • R18(※年齢確認のご協力をよろしくお願いいたします)
    • R18・全年齢ごちゃ混ぜのWeb再録まとめ本です。若干の加筆修正、書き下ろしはありますが、紙で手元に欲しい人向けです。
    • イベント後Boothにて通頒予定。
    • 書き下ろし①『機械の褥』(6p)
      • 以前Twitterで書いた『ファイアボール』パロから派生したセクシャル文章です。
    • 書き下ろし②『彼は人間の世界では』(15p)
      • トレイが淫魔でリドルが人間のパロディです。性描写無し。
    • sample(Boothへ飛びます)
  • 既刊①『Think Red, count to the Third』
  • 既刊②『Vice Housewardenal Guidance 』

初参加で至らぬ点もあるかと思いますが、当日はよろしくお願いいたします!

トレリド俳優パロ

ドラマ『ツイステッドワンダーランド』のトレイ・クローバー役トレイ・クローバー×リドル・ローズハート役リドル・ローズハートの薄暗い話

・リドル(役者)がボージャック・ホースマンみたいに堕落してる

・トレリド以外の肉体関係あり

・全体的にキャラ崩壊気味

 


 

『永遠の赤き美少年、今夜はカラスと一夜を過ごす』

 十年以上も前の共演者が、かつての学園長役と合意の上で寝たというだけのことを、ゴシップ紙が騒々しく書き立てる。治癒しなかった古傷に偶然剃刀が触れた時のような痛みを無視して、俺はそれをゴミ箱へと投げ捨てた。

『リドル・ローズハートを演じることはそう難しいことではありませんでした。学問と魔法を演劇に置き換えれば、彼とボクとは同じ環境で育った双子のようなものでしたから』

 もう少し真面目な——発行部数も少ない雑誌では、過去の虐待のさりげない告発のようなインタビューが載っている。こちらの方は誰にも省みられることはないのだろう。世間は今や、見た目と演技力の割にわがままで放埒なお騒がせセレブ“リドル・ローズハート”に夢中だ。俺はインタビューのページを大事に切り抜いて、ひっそりとファイルに閉じた。

 もうあの子たちはどこにもいない。15歳で17歳を演じていたあの子も、20歳で18歳を演じていた俺も。

 楽屋のすみで一人、あの子は何度も台本を読んでいた。エース・トラッポラ役エース・トラッポラとデュース・スペード役デュース・スペードは話しかけたそうにしていたが、何度かすげなくされたようで、すっかり突き放してしまっていた。そんな三人を生徒役の中では年長の俺とケイト・ダイヤモンド役ケイト・ダイヤモンドは気にかけていて、気を揉みに揉んでようやく、ハーツラビュル5人での交流を持つことができた。その時のオフショットはどこへ行ってしまったのだろう。ケイトがアップしたSNSはもうサービス終了してしまっていて、そう簡単には掘り起こせそうもない。

『トレイ……! 本当にお菓子が作れるの!?』

『簡単なものだけだけど……役作りのために練習したんだ。ほら、最初の1ピースはお前に、だろ?』

『でも……ボク……甘いものは……』

『リドル。甘いものを食べるのも、“リドル”の役作りだと思わないか?』

『……っ』

 そうして俺が作った簡単なケーキを食べるリドルのとろけるような笑顔は、もう見られない。俺の脳に焼きついているだけだ。保存しておけばよかったのに。

 何度もレッドカーペットを歩き、高級住宅街住まいの彼と、“名バイプレーヤー”と呼ばれ始めたばかりでまだまだ慢心は禁物、アパルトマン住まいの俺とが接触することはもうないだろう。彼のことは美しく切ない思い出にして、今は堅実にキャリアを築くことに集中するべきだ。

 

 

 

 そう、思っていたのに。

「トレイ、キミもボクと寝たい?」

「久しぶりに会っていの一番に聞くことか?」

 出演したドラマの打ち上げのようなパーティーに、どういうわけか彼もいた。どうやら続編のメインキャストに内定していて、その縁らしい。そんなことをペラペラと漏らしてはいけない。やんわりと告げると、『リークされたってドラマの出来はどうせ変わらないよ』とカクテルを飲み干した。赤い液体の名は、たしかエンジェルフェイス。天使のような美貌の彼にはよく似合っていた。バーカウンターに肘をついて、彼はこちらを見上げる。

「そうやって昔の出演者全員を口説いて回ってるのか?」

「役者だけだよ。ケイトはエージェントになってしまっただろう? キャスティングに関わる相手とはしない主義だからね」

 それで、どうするの? と言いながら彼はおかわりのカクテルを受けとる。今度はホワイトレディ。ジンがお気に入りらしい。彼がそれを飲み干すのを待たずに、その華奢な腕を引く。パーティーを抜け出して、バレーサービスに愛車を持ってこさせる。

「……へえ、キミも、そうなんだ」

「早く乗れ。またスクープされたいのか?」

 自分から誘ったくせに、失望したような目でリドルは俺を見る。その色は、この街の夜のように濁っていた。

 

 

 

 ベッドに倒れ込んだリドルの手は震えていて、俺は覆い被さるのをやめる。

「いくじなし」

「怖がってるわけじゃないだろ。……いつからだ」

「……さあ、ね」

 彼の震えは、おそらくアルコール依存だ。冷蔵庫から出した水のボトルを、リドルが受けとるまで押しつける。

「セックスする気もないくせに、ボクさらったの? ボクに魅力を感じない?」

「……別にセックスしなくたっていいだろ。“幼馴染み”なんだから、久しぶりに思い出話でもしよう」

「フィクションだろう、あの関係は……」

 椅子に座ってテレビをつける。プレーヤーには『ツイステッドワンダーランド』のディスクが入ったままになっていて、リドルが「やめてくれ」と言うのも構わず再生ボタンを押した。リドルは、そこで初めて呆れたように笑った。あの頃のように。

「キミにとっても、あの頃は特別だった?」

「……ああ」

「……ボクもだよ。……あの頃のオフショットは、すべて保存してる」

「本当か?」

 ベッドの隣に腰かけて、彼の端末の画面を一緒に覗き込む。彼が画面スワイプすると、今よりずっと画素数の少ない写真が、次々と映し出された。俺が見たかった写真はすぐに見つかった。

「なんだか記憶よりもケーキが不味そうだ」

「そう? すごく美味しかったよ」

 けれどリドルの笑顔は、記憶そのままに眩しかった。

「一番のお気に入りはこれ」

 リドルが指差した写真に、リドルはいない。幼少期のリドル役、チェーニャ役、トレイ役の子役たちとリドルの母親役の俳優とが、なごやかにランチをしている写真だった。

 リドルの母親を演じた彼女は実に情に厚い人で、回想のシーンを演じきったあと子役たちをギュッと抱き締めてわんわん泣いた。

『ごめんね、ごめんねえ、怖いことは全部嘘なのよ、現実に戻っておいで、戻っておいでね……!』

 それが羨ましかった、とリドルは溢した。

「ボクを現実で抱き締めてくれる人は、どこにいるんだろう……」

 たまらず俺は、リドルを抱き締める。

「ねえ、今日は一緒に寝てもいい? ……何もしないから」

「……勿論だ」

 お前はここにいる、とリドルが寝入るまで、背中をあやすように撫で続けた。カット、と号令をかけてくれる人はどこにもいない。

 


ドラマ『ツイステッドワンダーランド』でトレイ役とリドル役を演じた二人が、リドルがボージャックとかサラ・リンみたいに身を持ち崩した頃に再開して、同棲をはじめ、リドルにとってトレイは聖域になるがトレイはリドルに段々劣情を催しはじめる……みたいな話はピくログでしてたんですが、こんな形になるとは。

実写版ワンピースのアーロン一味と子ナミちゃんとベルメールさんのオフショットがめちゃくちゃよかったので、ローズハートママ役の人も子役ちゃんたちをハグしてくれてるといいな、と思いました。

乙一の『カザリとヨーコ』の実写版の撮影裏で、娘を虐待する母親役の役者さんが、撮影が終わった直後に娘役の役者さんをぎゅっと抱き締めて謝ってたのも思い出しつつ。やっぱ演じる方も精神にくるよね……。

ジェットパックアプリからの投稿のテスト(トレリド子育て時空の描写するかわからない部分の話)

「直接的な描写はありませんが、男性も妊娠出産が可能なツイステッドワンダーランドの世界です」ということにしているので、コウノトリやキャベツ畑やお花さんから産まれたわけではない、というのは一応ぼんやりと前提にして書いてはきたけれど。

身体の負担を考えたら、『トレイが産む』という選択肢もあるわけで。「なぜトレイが産んだらだめなのか」という納得のいく答えが出せてないので、まだ当面書く予定はなさそう。

すったもんだの問答の末にリドルが産むことになって(多分器官を作るぞということなら一人目を産んだら二人目以降も器官が残る感じなんだろうと思う)、「じゃあせめて母乳が出るようにはしたい」とか言い出しそう~~~でもミルク作る手際めちゃくちゃよさそうだし液体ミルクも普及しててほしいし出さなくてもいいと思うよ!?