「俺は死ぬべきなんじゃねえでしょうか」
あの時からネヴァーモアは、指示を仰ぐ主を決めた。自分のニューロンですることには価値はない。それをわかっていたから、二十歳というまだ短い人生の中で、自分にとって最上の指示者を求めていたような気がする。
その幼い主を犯した夜、思わずそう呟いた。
「イディオットめ」
主はサイドテーブルの上の灰皿に葉巻を押し付け、いつもの調子で吐き捨てる。けれどまだ声は嗄れていた。
「でも、こんなこと、あっちゃならねぇんじゃ」
「ふん、僭越な自覚はあったか」
ネヴァーモアはだから、と続けようとして、やめた。それこそ僭越であろうと思ったのだ。
「だが、勘違いするな」
チバは上目遣いでネヴァーモアを睨んだ。思わず背筋を正してしまうほど美しい眼光だった。
「お前が僕を犯したんじゃない」
ゾクリと、冷気が背筋を走り抜けていく。
「僕が、お前を使って遊んだんだ」
だから、と言いながらフートンの中でチバはネヴァーモアを軽くいたぶった。少年の柔らかい足の裏が、ネヴァーモアの凶器を掠める。
「それ以上加害者面してみろ。ここをちょん切った上セプクさせてやる」
確かに。確かに誘ってきたのはチバの方だった。けれどネヴァーモアは、今現在もまた背徳感と欲情を覚えている。
この主を抱きたいと。